銀座トリーバーチのファサードサイン

  • 2011.01.07
By Black and Blue





調べてみたら銀座トリーバーチは2009年12月08日に路面店をオープンしているので、今からちょうど1年ぐらい前だ。何度か並木通りは歩いているので、見落としたのか、それとも注意力が散漫だったのかは分からないが、見た瞬間に配色が鮮やかなので気を引かれてしまった。いささか専門的な話になるが、壁面文字としてはかなり特殊な仕上げをしている。以下は推測で記す。

・下地パネルと同色のおそらくカラーステンレスメッキを施している。

・一般的には下地パネルと文字の表面の仕上げを同一にすることはあまりやらない。

・なぜなら下地パネルと文字が同色だと目立たないから。

・ただ下地パネルと文字を同色にすることにより一体感・統一感は増長される。

・そのままでは見えにくいので、通常は雑な仕上がりとなる文字裏はオレンジを配色している。

・そのオレンジ色が下地パネルに反射して、あたかもオレンジ色の文字がもう一つ裏側にあるかのように見える。

・現時点では照明入りなのかどうかは分からないが、普通文字裏側にはネオン管ないしはLEDを仕込む場合が多い。

・そのままネオン管・LEDを組み込むと、下地パネルのカラーステンレスメッキに配線などが反射し、見苦しい。

・そこでネオン管・LEDを組み込みながらも、配線跡の見苦しさを見せないために、オレンジ色のアクリルで目隠しする。

・つまり文字表側ははカラーステンレスメッキ、文字裏側も表側と同様の注意を払って丁寧に仕上げる。

ただ単に文字を設置しただけでは、文字背面の仕込みがそのまま下地パネルのカラーステンレスに反射して見苦しいことを知っている人間が拘りを持って作った文字だが、文字裏側を丁寧に仕上げることによりオレンジ色の文字がもうひと組あるように見せる演出も狙っているのだ。つまり文字裏側を丁寧に仕上げることにより配線跡を隠し、かつもう一つのオレンジ色の文字があるかのように見せる視覚効果も考えた作りと捉えていいだろう。カラーステンレスに反射する効果も狙った作品としては、2007年10月04日に掲載した『表参道の散策-その19"街路樹を取り込んだ壁面"』があるが、それと同様に上質なサインだと思う。

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