アップル、利益でもマイクロソフトを抜く
- 2011.05.03
今や飛ぶ鳥落とす勢いのアップルだが、つい先日時価総額、売上、利益でもついにマイクロソフトを抜き去ったとの報道を読んでいたら、往時のことが思い出され実に感慨深かった。業務ではWindows主体、Macintoshは家庭で利用することが殆どだが、10年ちょっと前までは業務でもMacintoshを主として作業していたのだ。アドビIllustratorを使用することが多かったが、時は漢字Talk7.12の時代。そしてMacintosh OS8,9と変遷していくのだが、当時のアップルは青息吐息。ソニーがアップルを買収するという噂話がインターネットが無かった時代でも我々の耳に届いてくるぐらい経営的に行き詰まっていた。
そのあたりはWikipediaに詳しく書いてあるので関心ある方は読んでいただきたいが、1997年当時はマイクロソフトに出資を仰いだことも伝えられており、アップル、マイクロソフトの軍門に下るなどと揶揄されたものだ。1997年と言えば、Windows95が発売された2年後。Windows95の熱狂的なブームを知る人間としてはまさにマイクロソフト帝国、盤石の感があり、WindowsでなければOSにあらずと言っていいぐらいWindows OSが強かった。なのでMacintoshを使用していると、ファイル互換の面でWindowsユーザとはやりとりが難しく、ai,eps,psdというIllustrator,Photoshopファイルのことを何度相手方に説明しただろう。
もちろん最大の功績はスティーブ・ジョブスの復帰にあることは衆目の一致するところだろうが、古くからのユーザとしては多少のぶれはあったものの、誰にでも分かりやすく扱いやすく、そして美しい製品を開発する哲学が揺らいでいないことにあると思っている。その意味でアップルのアイデンティティーを具現化するスティーブ・ジョブスの健康状態が気になるが、栄枯盛衰、盛者必衰は昔から言われている言葉。わずか10年足らずで、iPod,iPhone,iPadの大ヒットを連発しているものの、果たしていまから10年後には一体どうなっているのだろう。激動のIT業界であるが故に、その青写真は誰にも描くことが出来ないような気がする。
●ついにゲームセット:Appleは時価総額, 売上に次いで利益でもMicrosoftを抜き去る
つい1年ほど前に、AppleがMicrosoftを時価総額で抜いたとき、MS教信者たちは大声で叫んだ:何の意味もないね、売上を見てみろ!
昨年10月に、AppleがMicrosoftを売上で抜いたときは:どうでもいいね、利益を見てみろ!さらにその後を見ていると、本誌の予想では、今四半期にはAppleは利益でもMicrosoftを抜くだろうと思われた。そして案の定、そうなった。あっけなく。
MicrosoftはQ3 2011の決算を今日(米国時間4/28)発表した。良い数字が並んでいて、アナリストたちの予想を上回った。しかし、純利益は$5.23B(52億3000万ドル)で、Appleの前四半期の$5.99B(59億9000万ドル)に対し、かなりの差を付けられた。昨年10月の時点では、Appleは売上でMicrosoftを抜いたが、利益はMicrosoftのほうが11億ドル上回っていた。前四半期ではしかしその差が、約6億ドルに縮まった。そして今回は、驚くべきことに、7億ドルという大差で順位が逆転した。…つまり、1四半期で13億ドルの揺れだ。この傾向が、今後もおそらく続くのだろう。そして売上は、Appleは$24.6B(246億ドル)、Microsoftが$16.43B(164億3000万ドル)だから、およそ80億ドルの大差だ。時価総額は$318.45B(3184億5000万ドル)対$224.43B(2244億3000万ドル)で、ほぼ1千億ドルの差である。時代は変わった。