登録有形文化財が建ち並ぶ秩父の街並み-その1

  • 2011.05.11
By Black and Blue



2011年05月08日に掲載した『秩父神社の華麗な彫刻』でも書いたように、西武秩父駅から秩父市役所、番場町を抜けて秩父神社まで散歩することにした。途中、秩父市役所から御花畑駅に向かって歩いているときに、見かけたのが本日掲載する写真だ。

道路が垂直に交わる交差点で、まるで一本の大木を囲むように石垣が作られている。そしてさらにその石垣を囲むかのように歩道がその幅を広げている様子を見ると、名のある樹木なのだろうと思った。見ると『山を守る神様である天狗がとまる木として、この大ケヤキは語り継がれています。秩父の天狗が忘れていったこの羽団扇に触れると、天狗は天空を自在に飛ぶことから、旅の安全を守ってくれます』と書いてある。

由来を感じさせる情感豊かなその佇まいには誰しもが視線を傾けることと思うが、その左側に建っている酒屋の外観も天狗のケヤキに負けず劣らず、実に味わい深いものだ。木目板を横方向に並べ、酒の銘柄を5枚並べた、至って簡素な作りの看板だが、その存在感は圧倒的。青銅仕上げの外装材を丁寧に重ねて折り曲げ、しかも額縁の箇所では半円加工する凝った作りなのだ。文字の仕上げ方法に関しては私でさえ正直よく分からない昔ながらの造りだが、職人気質を感じさせるこだわりは随所に見ることが出来る。

文字が落ちて無くなったり、傾いているのが非常に残念に思う。これだけ昭和の香りを強く感じさせる古風な佇まいの酒屋は滅多に見られるものではない。手入れをすればまだまだ充分に輝き続けることが出来るであろう。

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