ザッケローニ監督の野望

  • 2011.02.06
By Black and Blue

アジアカップ終了後にザッケローニ監督に対する記事を読んでいたら、相反する二つの記事が見つかった。

●ザック監督、伊紙に日本への愛着語る「遭遇しなかったのはUFOくらい」

アジア杯で日本代表を単独最多4度目の優勝に導いたアルベルト・ザッケローニ監督(57)が31日付のイタリア紙レプブリカのインタビューに登場。「アジアのサッカー界は広大だ。はるか遠くの国と対戦し、遭遇しなかったのはUFOくらいだ」と興奮冷めやらぬ様子で答えた。「通訳と勝利の力を借りて、私はザッケローニ“さん"になった」と題した記事で、同監督は日本選手について「荷物を自分で運び試合後の後片付けまでする。今まで見たことがない」と感心。母国イタリアのサッカーについて「見ていないし情報も聞かない。未練はないし別に話したくもない」と述べ、日本への愛着を強調した。日本での生活については「すごくいい」としながら、母国の料理は恋しいようで、「ピアディーナ(薄焼きパンにハムやチーズを挟んだ名物料理)がない生活は考えられない」といい、東京・渋谷にお気に入りの店を見つけたとのエピソードも披露した。

●名将ザックにW杯もお願い! 契約延長“確約”しないと…

12年には欧州ナンバーワンを決める欧州選手権があり、その大会後、代表監督の大規模な“異動"がある。ザッケローニ監督も日本協会との交渉で「2年」という契約にこだわった。日本代表をステップアップに、再び欧州の代表チームやビッグクラブの指揮官に復帰したいとの考えがあるからだ。

最初に紹介した記事では『母国イタリアのサッカーについて見ていないし情報も聞かない。未練はないし別に話したくもない』とのことだが、おそらく腹のうちは違うのだろう。ネットを流し読みした情報なので本当のところはどうか分からないが、現時点での欧州サッカーの中心地はイングランド・スペイン・イタリア、そしてドイツとフランスだが、監督や選手にとってこの地を離れることは想像以上に抵抗があり、ことにアジアに来るということは都落ちの感覚というよりも流行や情報の鮮度から取り残されることを意味するらしいのだ。岡田監督の後釜探しでアルゼンチンやスペインの監督から断られた理由はこれが大きかったと聞くが、だとすれば前述の未練が無いというのは本音では無いだろう。

個人的には長友選手インテル移籍よりも、フェルナンド・トーレスのチェルシー移籍の方がインパクトが大きかったが、考えてみればレオナルド・インテル監督就任を見ても分かるように、欧州南米人の感覚は我々日本人よりもはるかにドライだ。2012年7月には欧州サッカー最大のイベント"EURO2012(欧州選手権)が開催されるが、毎回大会終了時には監督と選手の大規模移動が行われるために、ザッケローニ監督が今からそこに照準を合わせていたとしても別におかしくはない。(フェルナンド・トーレスのチェルシー移籍は、例えるならばザッケローニ監督が韓国代表監督に就任するようなものだろうか?)

●ザッケローニ監督を表彰 アジア杯Vで地元市

サッカーのアジア・カップで日本を単独最多4度目の制覇に導いたアルベルト・ザッケローニ監督(57)が5日、大会優勝を祝って現在の住居があるチェゼナティコ市から特別表彰された。同監督は市関係者や友人ら約100人が集まった中、同市の紋章を模したヨットをイメージした記念の盾を授与され「この街からこんな素晴らしい賞をもらい、大変感謝している。注意を払ってくれたことが、とてもうれしい」と喜びを表した。

すでに地元イタリアでもザッケローニ監督の株は上昇中と思われるが、個人的に一番楽しみなのは何と言っても今夏アルゼンチンで行われるコパアメリカ(南米選手権)だ。久方ぶりにNHKでコパアメリカが放送されるので、日本戦に限らず出来る限り見るつもりでいる。

●サッカー=ザック監督、南米選手権でも「経験と成長を追求」
また、7月に行われる南米選手権に話が及ぶと、「コパ・アメリカでは、アジア・カップの時と同じように経験とチームの成長を追求していく。タイトルを目標にはしない。コパ・アメリカで対戦するチームはアジア杯の相手とはスタイルもクオリティも違うが、われわれはしっかり対応しなければいけない」と話した。