日本経済新聞電子版の長所と短所

  • 2011.08.06
By Black and Blue

日本経済新聞の電子版を利用し始めてからすでに一年以上が経過しているが、紙媒体の新聞よりも様々な面で使い勝手の幅が広がっている。特に変化したのが新聞を読む時間帯だ。紙媒体の時には朝、昼、晩とだいだい読む時間が決まっており、あとは外出時の電車の中で読むぐらい。ところが携帯電話やパソコンで閲覧できると、想像はしていたものの、自由気ままな時間帯に読むことができるようになるのだ。

そういえば最近都内の電車では新聞を読む人はめっきり少なくなってきた。みんな携帯電話かスマートフォンをいじっており、新聞や雑誌、書籍を読んでいる人の方が珍しいぐらいだ。狭い車内、隣に座っている人に気遣いながら読まなければならない大判の新聞が敬遠されるのは当たり前としても、雑誌や書籍を読む人まで少なくなってきている。

片手で手軽に操作できる携帯電話やスマートフォンの方が好まれているのは明らかだが、電子版新聞の場合、慣れてくると紙新聞よりも携帯電話で読む方が集中して読むことができる。小説とは異なり記事の長さが限定されていること、携帯電話の小さい画面に凝縮されて表示されていることなどが理由に挙げられるが、最近は電車の待ち時間などは携帯電話で新聞を読んでいることが多くなってきた。

関心の高い記事や面白い記事を読んでいると、一番最後に関連記事が掲載されているが、これも秀逸。これだけの情報量が詰まっているとさすがに全部を読み通すのは不可能で、気が付かないで見逃した記事やもう一度読みたい記事が掲載されているととても便利なのだ。次から次への関連記事を読んでいると、芋づる式に読みたい記事が出てきて、あっという間に時間が経過、気が付いたら乗降駅だったということもしばしばある。

こうなってくると情報の洪水をどうやって整理するのかが一番の課題となるが、この点、日経新聞電子版の情報管理機能は貧弱そのもの、お粗末としか言えないぐらいに出来が悪い。項目別に分類できるのはありがたいのだが、保存件数が100件までとなっており、すぐに満杯になってしまう。なにゆえにこのような制限を設けているのかが分かりにくいのだが、写真や動画などの重たいデータを保存するのならいざ知らず、記事の項目の保存機能など無制限にして欲しいもの。有料契約期間中はそれぐらいの仕様にするのが当たり前だろう。

地デジの録画対策などを見ていつも思うのは、日本人はいつも規制から入る。これだめ、あれだめ、これはやらせない、で、残ったこれでやってね、といつもこういう結論だ。ユーザの利便性を考慮することは全くなく、提供する側にとって最前は何なのか、ユーザ視点が欠落したままサービスを展開する。それと正反対なのがGoogle,Appleに代表される米国IT産業。彼らの発想はまずユーザにとって一番便利なのはなんなのか?それを徹底的に追及するのだ。が、自由を追求しすぎると野放図になり法秩序が保てなくなる。そこで自由を一段締め付けた規制をかける。日本企業が開発したソフトサービスで世界標準となったものが即座に思い浮かばないのとは対照的に、Google,Appleが開発したものはほぼ世界標準となり得るのは、人々に受け入れられやすいものを作るという設計思想がやはり根本的に異なるのだろう。

話を戻すと、日経新聞電子版の記事保存機能の使い勝手が悪いので、利用しだしたのがEvernote。どうしてもURLを保存したい記事を見つけたときには、このEvernoteにURLをワンクリックで転送し、Evernote側で情報管理するようにしたのだ。最近はウェブサイトや雑誌で紹介されているので、Evernoteを活用している人もかなり多いかと思うが、多くの人が推奨するだけあってさすがに使い勝手が素晴らしい。日経新聞電子版の記事保存機能無制限→月額300円増額、なんていうサービスがあったら加入する人は結構居るように思うが、そういう発想が出てこないのが寂しいところだ。