CL BEST16 1st アーセナルvsバルセロナを見て

  • 2011.02.20
By Black and Blue

サッカーの醍醐味を堪能することが出来た試合だった。チャンピオンズリーグ・決勝トーナメントの最大の見どころは何といってもアーセナル対バルセロナ。現時点では誰しもが他を寄せ付けない最強群団と認めざるを得ないバルセロナに対し、プレミア三強の一角を占めるアーセナルがどのように望むのか?前評判では多くの人がバルセロナ圧勝、敵地ながらも1対1、あるいは2対1の完勝を予想していたと思う。昨年度の対戦では完敗といっていい結果だっただけに、この1年間のアーセナル若手選手の成長ぶりを確認する意味でも重要な試合だった。

チャンピオンズリーグ 2010-11 BEST16 1st アーセナルvsバルセロナ


●アーセナル、逆転でバルセロナを下す

●バルセロナのグアルディオラ監督「どこをどう間違ったのか分からない」

いろいろな見方はあるだろうが、個人的にはファンペルシーの1点目が起死回生のゴール(動画3分8秒)だったように思う。あの場面、角度が殆ど無かったためにおそらく右側に居た選手へパスを通すのか、あるいはダメもとで狙ってシュートの二つに一つ。ビクトール・バルデスも同様に考えたのか、体はパスに反応するかのように重心をゴールとは反対方向に傾けていたのが命取りとなった。まさかゴールポストと自分の体との僅かな隙間を狙ってくるとは思わなかったのだろう。

見た瞬間に思ったのはファンペルシーはあの僅かな隙間を狙って打ったのだと判断したが、試合後のコメント読んでいたら、そうでないことを知った。無我夢中でどこを狙って打ったのかはよく分からなかった。後でビデオをじっくりと見直したいと・・・自らオランダ四天王と公言し、それ以外の者と代表でプレイするのを敬遠するといった物議を醸し出す発言をする男が、感極まり同点ゴール直後にベンゲル監督に抱きついたのが、いかに重要な一点だったかということの証左だろう。

終始押され気味だったアーセナルだが、90分間見ていて感じたのは決して闘争心を失わなかったこと。諦めずなんとか形勢打開を狙って全員が一丸となったことが勝利に結びついたといっていいかもしれない。ファンペルシーの1点目が入る前に、セスクがフリーキックを蹴る場面があったが、若干23歳ながらも目を見据えて集中している様子が印象的だった。憧憬の思慕を心に秘めながらも勝負師として刹那に賭ける思いが、テレビを見ている人間にすら増幅されて伝わってくるようで圧巻。

形勢としてはアーセナルやや有利だろうが、全てはカンプノウで決着がつく。どちらがカンプノウで1点目を決めるのか?決めた方がそのまま勝者になる可能性が高いような気がするが、昨年度のインテルとは対照的なチーム戦術を採用したアーセナルは高く評価したい。一瞬のきらめき、ひらめき、そして輝きが凝縮された珠玉の宝石集のような試合ともなれば、ラフプレイとは無縁の世界になる。現代サッカーの最高レベルの試合を見せてくれたことに感謝すると共に第二戦を待ちたい。