コパアメリカ2011への参加問題

  • 2011.05.15
By Black and Blue

2011年7月1日から南米アルゼンチンで開催される予定のコパアメリカ2011(南米選手権)への日本代表チームの参加問題が、また雲行きが怪しくなっているそうだ。たまたま読んだセルジオ越後さんのコラムにそう書かれていたが、一度は参加で決着したはずなのに再度不参加が蒸し返されるということは、Jリーグ各クラブからの突き上げがかなり厳しいのだろう。

●2010年12月31日 とても楽しみなコパ・アメリカ2011

●2010年07月24日 2011年のコパアメリカに期待

●2008年09月27日 サッカー南米予選の面白さ

コパアメリカに対する思いはこの三つの日記に全て掲載されているが、コパアメリカは多くのサッカーファンに是非とも見て欲しい大会だ。有名選手はさほど出場しないかもしれないが、将来有名になるかもしれないサッカー選手の原石を発見したり、ボールを奪い合う選手たちの本能的な荒々しい動きを見ることが出来るまたとない機会で、Jリーグや欧州各国の試合しか見たことのない人たちにとっては、とても新鮮なプレイに見えるからだ。もちろんやる気の度合いは各国によって異なる。何でも大会と名前が付くと多くの日本人は力を入れてプレイすると思いがちだが、こと南米選手権に関する限り、国威発揚、若手育成、形式参加、全力投入など各国の臨む姿勢はバラバラで、大会だからといって真面目にやるとは限らない。

とはいえ、今回は楽しみなのはアルゼンチン・メッシ。今期は所属のスペイン・バルセロナでも大車輪の活躍で、今現在は最も脂が乗っている世界最高の選手だが、代表チームでは目立った成績を上げることが出来ないでいるのだ。個人的にはマラドーナの領域に到達した選手として大いに評価しているが、マラドーナと技術的には同じでも代表チームでのタイトルがメッシには一つもないだけに、今回は最初から優勝狙いで参加してくるだろう。そのアルゼンチンやブラジルと同組になる可能性は約67%と非常に高く、真剣勝負してもらえる機会を棒に振るとはなんとも残念で仕方が無いのだ。

正直日本代表程度のレベルではお金でも払わない限り、アルゼンチンやブラジルは試合をしてくれない。ただでさえ過密日程スケジュールの代表チームなのだ、同格の相手と試合をするならともかく、遥か格下の相手と試合をすることにより、下手に怪我でもしたら元も子もないからだ。そのアルゼンチンやブラジルと試合が出来る絶好の機会なのに、大事の前の小事に拘っているとはなんとも情けない気がして仕方がない。セルジオ越後さんの記事によると

『この問題は、気持ちの問題ではない。ビジネスの問題だ。つまり決断の裏には、責任が伴う。参加を取りやめるならば、当然違約金が発生するだろう。契約とはそういうものだ。当初、参加を辞退したいと言った日本に対して、考え直してほしいと言ってきたのは、南米側だ。それだけ、向こうにも譲れない理由があるのだろう。日本が参加することによるビジネスチャンスを逃したくないのは明白だよね。昨年10月に行われた日本対アルゼンチン戦では、メッシが来日しなければ違約金が発生すると言われていた。そして、メッシは来日した。日本が南米選手権に出ないとすれば、いったい違約金はいくらになるのか。それは誰が払うのか。NHKが払うことになっている放映権料はどうなるのか。』

とのことだが、ビジネスの問題はさておき、南米のサッカーを日本国民に見てもらう機会を逸するという損失はかなり大きい。2008年09月27日に投稿した『サッカー南米予選の面白さ』ではこう書いている。舞台はコパアメリカではなく、ワールドカップ南米予選の話だが、『見ていた私はサッカーの試合で初めて、冗談抜きで故意の殺人を連想した。もうボールを奪い返すことは不可能だ、だからボールなんかを追うのではなくて、よりヒットする確率の高い、当たれば一発で倒れる人間の頭を狙う、私にはそう見えた。もしブン回した左腕がロマーリオののど仏に決まっていたら首の骨は確実に折れる、そう思ったのだ』普段日本で行われているサッカーとは別次元の試合が見られるかもしれない機会を逃すのは何とも惜しい。

●【セルジオ越後コラム】南米選手権不参加はタダじゃ済まない